今日も朝からCAVEで設置。写真のほとんどがプリントできたが、なんだか多すぎるように感じる。
<展示ステイトメント>
『カケラからはじまるおはなし・また』
この報告展の準備は、あるまとまった芸術作品の展示をめざすものではない、という地平からスタートした。そしてそれは精神的にはドイツでの個展が始まる前から進められていた。
ビデオや、デジカメなどによる基本的な記録のほか、出会った人たちの言葉、買ったもの、貰ったもの、それらすべてを集めてこようと企図していた。するとそれらひとつひとつが、最近の制作のキイワードともなっている『カケラからはじまるおはなし』との不思議な合致をみる。
準備を進めるにつれ、あるひとつのタイトな考え方に集約されていくのではなく、作業はどんどん細切れになり断片化されていき、そののちにやがて、浮かんでいる様々なもの(それらを断片と呼んできたのだが)の総体としての何かがあるかもしれないように感じてきたのだ。そして、その何か、というものを、具体的なことばに置き換えないで、自分の内部に、輪郭のないまま保ちたいという強く確かな思いが生まれる。展示のことを考えても、その、輪郭のないさまざまなものをそのままに投げ出していくほかはないように私の中のものがたりは進んだ。
行為を集積させること、言い換えれば思考のプロセスの断面をそのまま提示することがここでもまた行われた。
私にとってこの展覧会が大変意義深いのは、作品も含めて展示物すべてを多様な媒体として位置づけている点である。これは私には初めての試みであり、このことこそが、私において新しい『カケラからはじまるおはなし』となると感じている。
2005年6月 乾 久子