大阪の国立国際美術館で『もの派ー再考』展を見る。
知られてきた『もの派』作家以外の作家たちの作品も多く展示され、『もの派』を大きなくくりで再考しようというものだ。60年代後半に静岡で『幻触』というグループが生まれ、それが『もの派』の先達とされる。卒業後に知ったことだが、この『幻触』に高校時代の美術の先生が関わっていた。『幻触』には、石子順三氏も深い関わりを持っていて当時の資料を見ると、高松次郎や李うーふぁんらよりもずっと深い思想性を感じる。高校の時の先生小池先生の作品は、最近になって静岡文化芸術大学や静岡市の虹の美術館などでも見たが、国際美術館に展示されていた石の作品はまことに秀逸だった。在校していた時はそんなことはすこしも感じさせなかった。友だちの間で、小池先生は瀬戸川の河原で石を眺めてばかりいるそうだ、という話がそういえばあったけれど。
『もの派』というと、私たちの世代の出発点という思いがある。そこから学び、始めたという思い。精神を物質に投影していくやり方。だが、もの派の始まりはもうすこしトリッキーなものだったようだ。
カタログを絶対買っていこうと思っていたのに売り切れ、再版予定なしということで残念。
難波から近鉄に乗って大和文華館に寄る。こちらは大学院の時の先生が館長をやっている美術館。23年ぶりの大和文華館もまたとてもよかった。絵巻物の特別展。先生には会えなかった。