神奈川県立近代美術館で内藤礼をみる。
『すべて動物は、世界のうちにちょうど水の中に水があるように存在している』というながいサブタイトルがついているこの展覧会は、世界の中の自分の存在をまるで詩の言葉で確認するような繊細なものだった。小さくてはかなくみえるが強く美しく、それでしかなくそこにしかないものが、展示室や、歴史の建造物と周囲の自然の中にうつくしくそっとあった。それはもちろん内藤礼の作品そのものであるのだが、そのひとつひとつが見る人一人一人の存在そのものであるようだったし、ひとりひとりの皮膚から侵入して内部へと浸透するような研がれた物語のようでもあった。
一定時間心の奥にとどまり、美術館を出た後で静かに完結した作品だった。
バタイユを読んでみたくなった。