大友克洋原作のAKIRA(映画の)をDVDで見ました。1988年の作品です。
1980年代に考えられていた2016年の日本。AKIRAを原子力あるいは核エネルギーと置き換えて考えるとしたら、、、。大友克洋は予言者なのだろうか。
震撼する内容でした。
AKIRAを見ようと思ったのは、ドミニカ人の書いた小説を読んだからです。
The Brief Wondrous Life of Oscar Wao『オスカー=ワオの短く凄まじい人生』
by Junot Diaz (ピュリッツア−賞受賞)
ドミニカの独裁政治の時代から現代までのワオの家族のそれぞれの人生を語りながら、オタク少年オスカーの命をかけた純愛が綴られているおはなし。
マンガ、ファンタジー、ゲームといったオタク文化が膨大な脚注とともに紹介されてもいます。(オスカーは小説の中で何度もAKIRAをみていてそれで私も見てみたいとおもったのですが。)
その一方で、オスカーの家族におこる暴力とセックスの波乱、ドミニカにおける圧倒的な暴力、差別、貧困が語られてもいる、、、、。
日本人でありながら私は日本のオタク文化の奥深さを知らなかったし、ドミニカの歴史も政治も知らなかった、そしてなにより主人公オスカーの貫いた純愛に深く深く感動しました。読後にこうした複雑な感想をもたらす文学が存在していたなんて!
作者は小説の中のある箇所で『広島と長崎は永久に破壊された』という表現をすることで核に対する考え方を表明していました。ドミニカの人が、日本に落とされた原爆についてこんなふうに受け止めていた、、、。
物理的にはもちろん、精神的にも遥か遠くにあったドミニカが急に近くなりました。
と、ドミニカへの旅を終えたばかりのきのう、NHKのあさイチにJOYというイケメンのタレントが出演していて、ドミニカ共和国元大統領の孫とテロップで紹介されていて驚いた。トルヒーヨがどれだけ殺しどれだけ奪ってきたかを知ったばかりの私はおもわずスリッパで画面のJOYをたたきそうでした。
読まなければ知らなかったドミニカ、読まなければ見ようと思わなかったAKIRA、知るという事の豊かさはいつもあるものですね。