非常勤の仕事ですがグラフィックデザイナーを志す若い人たちに美術史を教えて今年で三年目になります。
最初の一年目は、通史を概観しながら美術史の基礎知識的なことを伝えるというスタンダードなものでした。
2年目は、デザイナーになる人たちにとって必要な美術史の教養ってなんだろうと考えて授業を組み立てました。
そして今年はもっとフラットな視線で、わかい人たちとともに美術を熱く見つめ直そうと思ってやっています。
もう一度あたらしく自分の目で作品を評価してみること。限りある時間の中で伝え得ることは自分にとってリアリティがあることだけだと思うと、誰かの言葉の棒読みでは伝わらないと思い、それを課しています。
たとえばレオナルド、たとえばミケランジェロ、たとえばセザンヌ、ピカソ、マチス、エル・グレコ、、、、
そうやって見ていって気付いたことがあります。
わたしはこのごろあたらしく美術が好きになっている気がするのです。
あらゆるものが鮮やかに映り、新しく響き、心が昂揚する、、そこまで言ったらオーバーかもしれませんが、たとえばこの前ブリューゲルの『雪中の狩人』を学生達と一緒に観た時、そんな気分になりました。
あの、冬の静謐な空気と透明に広がる空間、その中で語られる普通の人たちのさまざまな物語り、知ってきたブリューゲルなのにもう一度好きになった気がしました。
この気持ちを若者達と共有できているとしたらこれほど素敵なことはないと思う毎火曜日です。