「さようならオレンジ」岩城けい 筑摩書房 2013
ものがたりの舞台は(おそらく)オーストラリアの地方都市。
アフリカからの難民移民のナキチ、日本から大学の研究員の夫について来たハリネズミことさゆり、三人の子供を育て終えたところのオーストラリア人の専業主婦オリーブ、英語学校で出会った三人の女性たちが、大切なものを失い、しかし自分の力で新しい何かを育て、生まれ変わっていく。
離婚で子どもを手放す、事故で子どもを亡くす、子どもが巣立ってもう戻らない、ものがたりのメインモチーフは子どもなのに、人は一人で生きていることを改めて思わされる。贖えないこと、元に戻らないことに言い訳しない美しい生き方が美しい言葉で綴られていました。