小池昌代の詩集『もっとも官能的な部屋』を読みました。
小池昌代選詩集というのは二冊持っていますが、彼女だけの詩集は初めて読みました。
詩には、すごく共感できるものと、すごい感性だと認めるがそういう感覚私にはないなというのと二通りあって、小池昌代さんの詩は前者です。小池さんが描く生活、小池さんが愛でる風景、小池さんが描く性、小池さんが憧れる異性、そうしたものが私にとても近い気がします。というか、小池昌代の詩はそうしたある種の普遍性を表現し得ているのでしょう。
ところで、この詩集は、多分ですが、活版印刷のようです。奥付にある印刷所からしてそんな感じです。
文字がくっきり、アウトラインがしっかりしています。文字のひとつひとつに物質性が感じられます。
つまり詩人は言葉を供する時にそのことも重視したということです。
言葉というものを、抽象的な概念や記号、共同幻想などとは思わず、手から手に届け得る、モノとしてある実体と見なしてもいる、ということでしょう。
そういうところまでもが共感できる詩集でした。