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乾 久子の日常
by hisakoinui
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8月2日3日の、鴨江アートセンターでの鴨江アートバザールは盛況のうちに幕を閉じ、バザール内の一部門として参加していた¥3500?展も無事終了しました。 来てくださった方、購入してくださった方、出品してくださった方、お手伝い下さったみなさん、来られなかったけれど気にかけてくださった方々、ありがとうございました。
¥3500?展は、お金というわかりやすい言語でアートを語ってみる、アートの価値とは何なのかを3500円という価格で区切ることで顕在化させてみる、という実験企画でした。
出品してくださった方は、ベテラン若手こもごもの、地元の作家さんたちのほか愛知、神奈川、東京、石川、遠くは鹿児島からも。
多くの方が、自分の作品を3500円で売るということに意識的であったと思います。たとえば、あえて時給換算して3500円分の時間で制作した方とか3500枚の一円玉を作品として提示した方などです。経験を積んだ作家さんの作品は、自分の中での3500円分はこうだと考えられたように感じました。
その一方で、力のこもった作品を純粋に出品してくださった若い人たちや、これが初出品だという方々もいました。
そうした作品が、作者の経歴紹介など一切なしで、フラットに展示されました。
来てくださったのは、もちろん鴨江アートバザールを訪れた人たち。地域に向かって開き、地域とアートセンターを繋ぐというコンセプトで企画されたこのバザールには、親子連れやご夫婦やお友達etcたくさんの地域の方が作品を見てくださいました。
みなさんほんとうにしっかりと丁寧に作品を見て行ってくれるんだなあとそのことにまずは感動しました。
もちろん、実験企画なので、なぜ3500円なのかといった会話が展示空間内でなされたし、アンケートもおこなったのですが、その意図とは別のこともおこりました。
中学3年生の女の子がお母さんと来て、美大志望の高校3年生が出品している油絵15号の力作に釘付けになりそれがほしいと言いました。少しためらっていたお母さんでしたが、それをバザール通貨で購入しました。初めて絵が売れた高校生、初めて絵を買ってもらった中学生、このふたりを繋いだのは純粋に美術作品であり、そのとき3500という数字はどれだけ影響していただろう。お母さんは、安かったから買ったのではなく、娘が初めて作品を欲しいといったから買ったように私には映りました。
ギャラリーでの作品売買のありかたを前提にしたような企画だったのに、来た人たちが展覧会を変えて行く。これがアートバザールの面白さだったんだと思いました。
作品を売り買いすることは、ただの経済行為ではなく、人と人とをつなげるものなんだなと、はじめてにわかギャラリストを経験してみて感じたことでした。
ともあれ、この企画が提起している問題の核心についても、ゆっくり振り返って行きたいと思っています。
by hisakoinui
| 2014-08-06 08:31
| 展覧会報告
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