
9月15日
このごろみた三本の映画
罪の手ざわり
現代中国のリアルとはこれなのかと。
見たことのないいくつもの風景がスクリーンいっぱいに広がる。
圧倒的だった。大陸だと思った。
背景は急成長する中国社会。富の分配はどこまでも不公平だ。
(富裕層が電話一本で高額美術品を買うシーンもあった。)
殺人を犯した罪びとたちに、本当の意味で罪はあったのか。
暴力シーンがこれでもかと続くのに、圧倒的な映像美がある。
たとえば社会派映画というカテゴリーがとても小さく感じる。
芸術性はきっとそのカテゴライズのはるか上にあるのだろう。
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ヨーロッパでかなりの話題だったというふれこみの問題作、ようやく浜松でも、ということで、シネマイーラは、普段の十倍は客がいた。
ドイツの友達も面白かったと言っていた。
時代背景は近未来。現在のsiriの機能がものすごく拡大進化した社会といっていいだろう。コンピューターがあらゆることに答えてくれる。
そしてついに主人公はあるOSと恋愛をしてしまう。
はじめにことばありきのヨーロッパの人たちだから話題になったのかなと正直思いました。
ことばで、ことばだけで愛することへの違和感、私にはかなりありました。
もちろん、見ること触れることのリアルを説く、といった薄い映画ではなかったのだけれど。
CRASS
伝説のパンクバンドのドキュメンタリー映画。
音楽ドキュメンタリー映画は、何と言ってもサウンドトラックが素晴らしい。今回もすごくよかった。80年代のパンクミュージック。ハードコア。
もちろんミュージックPVではなく、映画であるからにはテーマがありました。それもかなりヘビーな。
それはバンド名CRASSのとおり、階級の問題だったと思います。すごくイギリスっぽい。
でも階級闘争ではなかった、階級からの逸脱ということなのか。それを標榜、実践してきた彼らの今も映される。幸せなのだろうか。
何をもって幸せとするかという、最近若い人たちと話した内容に繋がりました。
そして私にはどこか受け入れられないCRASSのメッセージ。
さて映画館には、パンクな若者でいっぱい。私みたいなおばさんほとんどいなくて目立ちました。あのベッカムも着ていたCRASSのTシャツは一枚5000円でした。売れていました。この売り上げは誰のものになるのかなと思いました。