遅くなりましたが、遠州横須賀街道ちっちゃな文化展無事に終了しました。
お運びくださったみなさま、気にかけてくださった方、ありがとうございました。
古い町並みを舞台に、現代美術も工芸も版画も書道もなんでもあるおっきなこの文化展に参加させていただくようになって10年を超えました。
回を重ねるごとに来場者が増えるのは、主催の横須賀倶楽部の方々のご尽力のたまものと思います。アートの力で町を元気にといった最近はやりの町おこしアートイベントとは似て非なるこの企画、今年はお天気にも恵まれて3万人を超える人出だったと聞きました。この道専門のキューレーターもおらず大きなスポンサーもなくよくここまでと思います。
私は去年と同じブース、中心から少し外れた酒井邸。昨年は一階に大きなドローイング作品を展示しましたが、今年は、一階にはドローイングのスライドショーをテレビモニターで発表、昨年は使わなかった二階和室にドローイングの実物を畳の上に並べる展示をしました。
二階作品を見るためには、靴を脱いで上がって、古い抽き出し階段を登らなければなりません。それが安全ではないし、和室自体も古くて天井が低いので、一度には多くて5人くらいしか入れません。
たくさんの人で賑わう街道での発表なのにこの展示をあえてしたのは、私の紙のドローイングを雑踏の中でしっかり見てもらうには、静かな閉じた空間にいざなうほかはないと思ったからです。
結果、人数は多くはなかったけれど、あがってくれたひとのほとんどがものすごく丁寧に作品を見てくださいました。激しい往来の中でチラッと目の端に入れて通り過ぎられるより、ずっと嬉しいことでした。
この文化展に来る人は、普段ギャラリーや美術館に行くような方々ばかりではないと感じます。それでも、文化展って何だろう、楽しそうだと関心を持ち、あの不便な場所にわざわざ足を運んだ人たちです。
今年、私の作品はそういう人たちによってとても丁寧に見つめられました。
後で年を聞いたら中3ですと答えた男の子は、階段から降りてきてひとこと「美しかったです」と言ってくれました。友達のご主人で中学校の校長先生をされているO氏は、作品の傍に静かに座して、「なんだか遠くに来ているような気がする」と言ってくれました。
ほかにもたくさんうれしいリアクションがありました。
今回発表したドローイングの続きをがんばって続けて制作していこうと思います。
今書いた、がんばる、ということの意味は丁寧に時間をかけて取り組むということです。