このごろ読んだ本
「三四郎」夏目漱石
いまさらですか、と言われそうですがkindleで読みました。
九州から上京して帝大に学ぶ大学生の日常。日常といっても三四郎にとってはすべて非日常のようでした。
それにしても漱石の描く女性像はなぜいつもこうなのか。女性の私からみると、とてもそんな人がいるとは思えないような人物に造形されています。しかし、そうした女性に対して三四郎はつねに純粋だし、その右往左往が面白い。自分はたくさんの自己を生きている、それが苦しいなどといっているけれど、それもせいぜいみっつか四つぐらいなところもつっこみどころで、それは時代というものなのかもしれません。
斜めな感想を書いてしまいましたがものすごく面白かったです。それから文豪というものはだれでも若者の悩みをテーマに創作するものなのだなとも思いました。
「バカボンのパパと読む老子」角川SS新書 ドリアン助川著
足るを知るものは富む、とよく母が言っていましたが、何をもって幸せとするかということについてあらためて考えました。バカボンのパパに言ってもらえると納得出来たというのもあるし、ドリアン助川さんも好きな人です。(叫ぶ詩人の会はまだあるのでしょうか。)
「イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北」集英社新書 内藤正典著 2015
ISについてもアルカイダについても知らないことが多すぎたことを知りました。
そもそもムスリムの人たちについて私は何も知らないのでした。
たとえばムスリムの女性が夏でもベールを被り長いものを身にまとって肌を見せないようにしていることについて、私はずっと気の毒に思っていました。男性の視線など気にしないで、自分がそうしたければノースリーブとミニスカートで街を闊歩出来るわたしたちは自由だと思っていました。でもそれはちがっていたようです。
もちろんこの本はそうした文化の違いを論じているのではなくあくまでもイスラムをめぐる政治状況について書かれているのですが、政治以前のことですら無知であったと思ったのでした。
トルコの政治姿勢に学ぶものは多いです。
「精霊の守り人」上橋菜穂子 新潮文庫
「闇の守り人」上橋菜穂子 新潮文庫
二人の若い人がすごく面白い!と薦めてくれたので読んでみました。
精霊の、、の方は国際アンデルセン賞を受賞しているそうで権威のお墨付きです。
まず驚いたのは主人公のバルサが女性で、しかも若くなかったことです。おばさんでなおかつ天才的な槍使いで、身もこころも強靭で人としての深い教養と気高さを備え、生命力と愛に満ちあふれているのです。
おばさんたる私はバルサに強く感情移入して読みました。
ファンタジーは久しぶりです。
読んでいて楽しいものですね。
精霊の、、の方は、スピード感があってどきどきしました。2巻目の「闇の、、」の方はストーリーに厚みがあるように感じました。
今は三冊目、「夢の守り人」を読んでいます。