『乾さん、お料理好きでしょう?』
はい
『ダメよ、お料理なんかしちゃ。楽しいんだから。』
『お料理なんかしてたら、作品作る時間なくなっちゃうわよ。私なんかずっと、30分でできるご飯しか作らないって決めてるの』
エスタブリッシュしている女性アーティストの大先輩に言われた言葉です。
『子どもなんかね、小指の先で育てなさい』という言葉もその人からだったように思うけれど、とにかく女性の先輩たちはそうやって制作時間を生み出して来たのだということなのでしょう。
でも、最近の私、ますますお料理が楽しいのです。
だから、お料理は譲れないなあ。
というか、お料理と制作は、どこかで繋がっているのではないかとさえ思うこのごろです。
息子三人がまだ家にいて、家族のご飯作りが相当の労働であったあのころもお料理は好きで楽しかったし、一日一升お米を炊いても全部食べてもらえるほど作りがいがあったころの充実感が懐かしくもありますが、このごろは、お料理における工夫や発見、創作が楽しい、そんな風に変化してきています。
これを今風の言葉で言うと、新たなフェーズというのでしょうか。
なんとなく、違うのです。これまでの私と。というか、これまでの私の料理と。
以前より、クリエイティブになっているのでは、と自画自賛ですが、そんな自覚があるのです。
それで、そのことと、制作はリンクしていると思いたいのです。料理の腕があがることと作品のクオリティがあがることはつながっている、と言えるのではないかと思うのです。
つまり、制作の為にも、お料理を我慢したりしないほうがいいのではと。
我田引水というほかはないのですが、このごろようやく時間が広々と生まれて来て、ガリ勉アーティストから卒業しつつあるのかもしれません。そしてそのことこそが新しいフェーズなのかもとも。
ともあれ、出来たお料理を食べてくれる人募集中です。