映画『ターナー、光に愛を求めて』を観ました。
ターナーのすごさを知ったのは昨年上野で観たターナー展。
それまでは、恥ずかしながら、イギリス風景画の著名な画家という認識でしかありませんでした。
オリジナルを間近でみたとき、本当にこれが19世紀の作品なのかと、その新しさに驚いたのでした。
そのターナーの素顔と創作の秘密が映画化されたということで、シネマイーラにかけつけたのでした。
作中、オリジナル作品が実際に出て来たのもすごかったけれど、なんといっても、ターナーが旅した光の風景の地が、圧倒的な映像美でフルスクリーンで何度も映し出されたことがすごかった、まるでターナーの作品の中にいるような、ターナーの光の中に漂っているような、そんな感動を覚えました。
こんな美しい風景はどこに行けば観られるのか、自然の生み出す美の崇高さ、すごいなあと思いました。
もちろん、映画なのでターナーの私生活がドラマチックに語られます。
作品から感じ想像した作家ではないターナーがあらわれました。
父の死、娘の死、母の狂気、、、悲しみに慟哭しても、なおかつ絵筆をとる姿は、画家としての自負からというよりはむしろ、全てを作品の糧にする絵描きの業のようなものを感じさせました。
暴雨風雨の中、船のマストに身体をロープでしばりつけ、嵐の海をみようとするターナーの姿は圧巻。見ることだけが彼の制作の根拠だったのか。
150分の長い作品でしたが、退屈せず楽しめました。