『東北の震災と想像力』 鷲田清一×赤坂憲雄 講談社 2012年
二人の知の巨匠の対談ならびにいくつかのエッセイより成る。
鷲田清一はものすごく好きです。(たとえば京都でバスに乗る時はあの『京都の平熱』がいつも頭をよぎります。)
それなので、今はまっている赤坂憲雄さんとの対談とあっては、Amazonにおすすめされなくとも買っていたと思います。
2012年に出された本。
まだ一年しか経っていないとき。
今ならそう振り返るのに、この時の二人は、1年もたとうというのにこの現実はなんだという熱い思い、もう一年がたってしまったのか気持ちも現実もあの時のままだと言う思いや、大変なことがおこったんだ、今この現実に対する考えを自分のことばで伝えなければというさしせまった思い、事故以前東電は福島に何をもたらしたか、福島の産業を育てたか、人々を豊かにしたか、原発に無知で無関心であったわれわれであったとしたら、事故に責任がないといえるのか、といったもの、さまざまをとても誠実に語っています。
もうすぐ5年がたとうという今、それでは何かが変わったのか、現実は何も変わっていない、この時語られ危惧されていたことのほとんどが何も変わらないまま放置されている、のではないか。むしろ、この時のような熱い思い、識者からのメッセージが世の中から消えつつあるのではないかという心配を抱きました。