岩波少年文庫を引き続き読んでいます。
『夜が明けるまで 』 も、戦時下のヨーロッパが舞台の話でしたが、この、『あのころはフリードリヒがいた』もまた、戦時下のドイツでのものがたり、ドイツ人の僕が幼なじみのユダヤ人フリードリヒとその家族について回想しているお話です。
最近見た映画、『この世界の片隅に』でもそうでしたが、戦争の時代の悲惨や不幸や理不尽は、一人一人の暮らしにおけるそれらによってできているんだとおもいます。そしてその暮らしというものの中には、戦時下であっても、慎ましくもささやかな、しかし確かな強さのある市民のしあわせはあり、そのしあわせは、為政者がもたらしてくれたものではなく、人びとが、自分たちで見つけたり育てたりしたもの、という点で共通しているとおもいました。
夜が明けるまで のマヤの、カンの強さ、とがりぶりに共感と憧れを抱き、フリードリヒでは、僕とフリードリヒ、それぞれのママにいろいろなことをおもいました。ポーランドからスペインまで大陸間を逃げる家族と自分の少女時代は一ミリも重なりませんが、マヤのことが自分のことのように感じるのが不思議でした。ユダヤ人迫害については、フリードリヒの方の詳しい訳注と巻末の年表によって学び直せました。