この作品は『あなたにとって日本とは何ですか?』という問いに答える展覧会『日本コラージュ』(ギャラリー K/東京 2009 年 ) への出品作品です。キャビネサイズプリント100枚組。今回展示はその半数。
自分の住む日本の地方都市浜松に起こっていることを新聞から集め、新聞を切り取った日は、花を撮影しました。自分の生活圏内にある身近な花を生活のメタファーとして扱い、新聞と花を画像ソフトで合成、これを 100 回続けました。キャプションには、スキャンした新聞記事の出典と花の撮影場所と日時が記されています。日本は地方都市で出来ている、日本とは地方都市のことです、が問いへの私の答えでした。
(ところで、この制作から、2011 年を挟んで 8 年が経ちました 新空港問題は遠い記憶ですが、静岡新聞がずっと伝えていた原発への不安はあまりにも予言的です。経済は低迷に慣れ、雇用問題は、今では若い人たちのそれが深刻で、浜松に 2 万人いた非欧米系外国人の多くは日本を去って行きました。 )
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2009年、京橋のギャラリーの空間を数人でシェアする一週間だけのグループ展出品のこの一点に、私は相当な時間とエネルギーを注ぎましたが、画廊空間の片隅でのプリント作品じか貼りインスタレーションに強度はなく、他の大作一点物や立体作品の陰に隠れてそれは地味な展示となりました。
東京のギャラリーのストーリーの中で、日本とは地方都市のことだという私の作品コンセプトが届いたのかも不確かでした。
もう一回と望んでも展示の機会はなく、私は100枚のデータをスライドショーにしDVD化し頑張ってテキストをバイリンガルで作りもしましたが、結果としてはお蔵入りでした。
それが、今回の展示で、一番たくさんリアクションをいただいたのが、この作品でした。
面白い、いけている、もっと続けたら?サイズの工夫をしてみたら?写真集を作ってみたら?などなど。すべて2009年にはもらえなかった言葉たちです。
面白いなあと思います。
毎朝のドローイングが私を肯定してくれているように、今度もまた、作品が肯定してくれました。
作品に力があるからだと言い切る自信は全くありませんが、何がしかの意味が作品の方にあったのか時代とともに育つ作品だったのか、地方都市静岡での展示であったからなのか、それもわかりませんが、8年前の東京とは違う何かがあったようです。
近いうちに、このNewspaper Flowers、再開してみたいと思っています。