3月17日のトーク
山本祐輔(情報学)✖︎乾久子 くじドロのクリエイション
続きです。
『つながる』についてもう少し書きます。
打ち合わせの日、山本さんが引いたくじドロのくじは『生まれてありがとう』で、その言葉の作用、影響、連鎖について、語ってくださいました。
昨日の記事にも書きましたが、会場にあるくじの箱を見ていつも思うことは、一番最初のWSで残されたくじも、豊間小の子の言葉も、別府のくじも、この箱の中に残っている確率はゼロではないということです。この感覚こそが、繋がっているということではないのかと思います。
以前、福島県立博物館の小林さんが、くじドロにある伏流水という言葉を使ってくださったことがあります。
別府と福島を繋げるというミッションでくじドロをした昨年、どうやって具体的につなげたらいいのか、担当の塚本さんと悩みに悩んでいた時に頂いた言葉です。無理につながりを見せようとしなくても、新しくつながりを作ろうとしなくても、くじドロは福島と別府をその伏流水でつなげている、といった文脈でだったと思います。
その、伏流水という言葉と、今回山本さんと話す中で再確認できた言葉の繋がり、これまでずっとくじの箱を見ながら抱き続けて来た感覚の三つが、一つところに着地した感じがあります。私にとっても、くじドロにとっても、とても良かったと思います。
つながりという言葉は、こういう時代なので、多用されます。あの直後はもっと強く『絆』でした。
あの『絆』は好きになれなかったし、同じ意味での『つながり』であるならば、私はもっと別の言葉を使いたいなと思いますが、事実としてのつながりがあり、それが広げる社会性というものがあるのならば、それでいいのかなと考えます。
『誰かとつながる言葉と絵のリレー』
このキャッチフレーズには根拠があるとはっきりと言えるようにしてもらえた山本さんとのトークでした。
ちなみに、ですが、2008年の最初のくじドロで残された言葉が、今も残っている確率について考えてみました。
最初のくじの言葉を考えたのは私ですが、仮にそれが10枚だったとして、一番初めにくじを引いて絵を描いた人がくじの言葉を残して10枚に戻し、次の人がそのくじを引かない確率は10分の9です。一番最初の人の言葉がまだ残っている確率、この時は10分の9。
これまでのくじドロ参加者、残された言葉の数からの類推でざっと5000人なので、一番最初の人の言葉が残っている確率は10分の9の5000乗!
もはや対数計算ですね。数学の教科書巻末の対数表必要です。
10分の9は、5乗ぐらいで2分の1になるので、2分の1の1000乗と考えてもいいかもしれません。
つまり、一番はじめの人が残したくじが今もくじの箱に残されている確率は、2分の1を1000回かけたくらいの数字、限りなくゼロに近いけれどゼロではありません。
くじの箱を見ながら、いつも、それぞれの場所で残された言葉が今もこの中に残っていることだってあるかもしれないと感じている私の感覚、間違っていないんだと思うし、残される言葉一つ一つに2分の1の1000乗のつながりがあるとも言えます。
いろんな言葉が紡がれましたが、今も繋がっているんだと思います。
続きをまた書いてまいります