アクトランドくじドロの2日目は高知に泊まり翌日は特急に乗って須崎へ。
須崎駅に着くと秋の藁工トークでご一緒した佐々木ホゲットさんが自転車で迎えに来てくれていました。
ずっと来たかった須崎にようやく来れました。
自転車を押して私と並んで歩きながら、ホゲットさんは街の人たちに声かけしています。
たとえば、地場のものでお惣菜を作っているおばさんグループ。
たとえば、お花やさん。たとえば、猫カフェみたいなレジデンスの宿舎。
そしてここが彼女の職場、須崎まちかどギャラリー、一度は来たいと思っていたところです。
由緒ある歴史建造物。古くから街の経済と文化の中心であった建物。
それを保存しリノベーションして、現代の文化施設にというお話は、いろいろなところで行われていることなのですが、須崎の街のこのサイズとホゲットさんや館長の川鍋さんやスタッフの順子さんの温める温度がちょうど街にあっていると感じました。
それは先日来ずっと考えていた『地域とアート』につながります。
地方で何かをしようとするとき、地元の声に耳を傾けてボトムアップでその地域の文化を育てようとするベクトルと、全国レベルの企画を考え社会的影響力の強い著名人を呼んだりなどして文化を広げていこうとするベクトルと、ふたつがあるように思います。
前者の場合は、お金も含め力がつきにくいし、後者は東京からは人が来るけど地元の人には知られていなかったり認められなかったりします。
須崎は、でも、その両方が程よくできているように思いました。
レジデンスを始め、様々な文化企画は、全国の人も地元の人も同じ温度で一緒に作っているようでした。お醤油屋さんのおかみさんがレジデンスアーティストさんのことを熱く語っていました。すごいウェルカムだったようです。魚屋のおかみさんがまちかどギャラリーで料理教室をしているようです。
そして、今年のVOCA展の大賞を取った碓井さんは、須崎まちかどギャラリーのレジデンスアーティストでした。
街のおばちゃんたちのお惣菜と現代美術のハイクオリティが同居する。いいなあと思います。すごいことだと思います。
誰もが、まちかどギャラリーをちょっと誇りに思っているらしいことも伝わりました。
『地域とアート』はこんな在り方であるといいなと思いました。ホゲットさんたちの毎日のさまざまが実っている伝わっている と感じました。
地域のサイズもきっと関係するのでしょう。
ホゲットさんにドライブをおねだりして海を見に行ったのですが、浜松に帰りつける最後の特急にギリギリまに合わない事態になった時、彼女は、同乗の順子さんに叫びました。
『順ちゃん!!駅に電話して!!!!ちょっとまっちょってもらって~~!!!』
JR四国の特急を待たせるなんてありえないと私は心底思いました。
結局、30秒遅れで乗り遅れたわけですが、やがて私たちの目の前に駅長さんが現れて、ホゲットさんとものすごく親しげにお話をしています。
ああそうか、駅長さんとこの関係だから、特急だって1分ぐらいは待っててくれると思ったんだ、それは須崎がこのサイズの街だからなのではと妙に納得しました。
さまざまあたたかい須崎でした。
また行きたいと思います。