8月2日木曜日
重度心身障害者の医療費助成申請は今日と明日の二日だけという藤枝市役所からの通知が少し前に届いていた。
一級の手帳を持つ姉のこの事務手続きのために、朝浜松を出て国1バイパスの上り線を走っていた。
掛川の道の駅を過ぎ、日坂のあたりを走っていた時だった。
反対車線を走行中の大型トレーラーが荷崩れを起こしながらほとんどバランスを崩しながらセンターラインを越えて私の車に向かってくるではないか。
咄嗟にハンドルを左に切って衝突を避け急アクセルを踏んでトレーラーの荷台から落ちてくる(ように見えた)長い鋼鉄のものを私の車はギリギリでかいくぐった。
何が起こったのかその時はよくわからなかった。
ゆっくりブレーキをかけ路肩に車を止めてミラーを見ると、トレーラーは横転していた。荷物は私の方の車線に散乱していた。
1秒だったと思う。
あと1秒遅いタイミングでそこを通過していたら巻き込まれていたと思う。
茫然自失とはこのことで私は何もできず何も考えられずしばらくの間そこに停車していた。
この横転事故でバイパスは五時間半の通行止めとなったがけが人はいなかった。
私のずっと後ろを走っていた後続車も、ギリギリのタイミングの、その人はきっと急ブレーキで、回避できたのだと思う。
天使がいるね。
この話を聞いた友達がそう言ってくれた。
本当に天使がいたと思う。
姉の施設に着くと、彼女は私に向かってにっこりと笑った。最近の彼女はもういろんなこと厳しくて笑ってくれることは少なくなったのに。
天使はノリコさんだったのかもしれない。
(画像は事故後少し経ってからのもの インターネットから。)