はじまりの美術館 えらぶん のこすん つなげるん展 無事に終了いたしました。
みなさま、本当にありがとうございました。
くじびきドローイングは、1000枚余の作品が残されました。
3ヶ月もの間、ここで毎日、くじが引かれ絵が描かれことばが残されて行きました。
会期中、私が会場にいたのは搬入の時、8月後半の2日、最終日とその前日、だけで
あとはすべて美術館の学芸員さんが交代でワークショップのお世話をしてくださいました。
テプラを打つ人として座卓の正面に座り、訪れた人たちにことばをかけてくじびきドローイングに参加してもらう、くじドロのルールを説明しながら、引いた言葉や仕上がった作品にリアクションしていく、テプラを打って作品展示をいざなう、などの一連のことです。
どんな言葉かけをするかで作品もくじのことばも変わってくる、それは事実ですが、だからこそ、いろんな方にファシリテートしていただくとくじドロの世界が広がる、と、同時に、誰がファシリテートしても変わらないくじドロのシンプルで強固なフレームがある、そういったことが、他者に委ねる度合いを増やしていくに連れてわかって来ました。
昨年の、高知、別府ぐらいからそんなふうに思い始めて来ましたが、今度の猪苗代ではとてもはっきりとわかりました。
それと、一つの地にくじドロが長く滞在する、そのことで生まれるものがたりがあることもよくわかりました。
くじドロ会場に10回以上通ってくれたというヒロくんという近所の小学生がいました。
ヒロくんはくじドロを本当に楽しんでくれたようです。
くじを引くことだけが面白くて絵の方は適当、ことばも深く考えず、ということは、わーっと集まってくる子どもたちにはときどきみられることで、それもくじドロのあるあるではあるのですがヒロくんは違っていたようです。
1枚目の作品はこれ、2枚目はと学芸員さんが伝えてくれましたが、ヒロくんはことばをしっかりと受け取って自分の世界に落とし、絵として広げていました。何度も来てくれたのは、またくじが引きたいということでしょうが、ヒロくんの中にははっきりと、くじの中にある誰かの言葉に出会いたいという思いがあったように感じます。
私が滞在した最終日にも、午前中の予定の後そのまま着替えもせずに来てくれて三枚描いてくれました。
3ヶ月、くじドロがはじまりの美術館にあったから、またあそこに行きたい!と思ってもらえたのかなと思います。
学芸員さんたちからは、たくさんのエピソードをお聞きしました。
たとえば、
「はなでするサッカー 」というくじを引いた女の子は、悩んだ末、お花をボールがわりにするサッカーの絵を描きました。
その子が残した言葉は「ほしでするサッカー」。
それをひいたのは大人の男性だったそうですが、その方が描いたのは、星をボールがわりにするサッカーではなく、星の王子さまのあの星で、みんながサッカーをしている絵だった、ということです。(後日画像を付けようと思います)
このエピソード自体がとても素敵ですが、このプロセスによりそってお話を聞いていてくださった方がいた、ということもとても嬉しいことでした。
私のいないところでくじドロの世界が広がって行く、ということを実感しました。
次のくじドロは、延期になっていた、海のくじびきドローイングです。
今度はずっと私がいて、ヘルプスタッフがいて、企画者がいての、その日1日限り約6時間のワークショップです。そのスタイルだからこそのものがたりもきっと生まれるのでしょう。
くじびきドローイング、引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。

