授業はじめの美術史トーク、第2回目はダビンチです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 『受胎告知』 テンペラ・板/98×217cm 1475~80頃 ウフィッティ美術館(イタリア)
『皆さんは、キリストのお母さんが聖母マリアであることは知っていますね。
聖書によれば、聖母マリアは、処女のまま懐胎し、キリストを産みました。
ではマリアはどうやって妊娠したのか?それが描かれているのがこの『受胎告知』です。
マリアは、天使のお告げによって、キリストを身ごもりました。
作品の左側に描かれている背中に羽根のある優美な男性は、天使ガブリエル、今まさに空から降り立ってマリアに伝えています。「マリア様、貴女はただいまお身ごもりになりました」
右側の女性がマリアで、左手を小さく挙げてその手のひらで天使のお告げを厳かに受け入れています。
マリア懐妊の瞬間です。
ところで高校生の君たちは、赤ちゃんがお告げでもたらされたりなどしないということを知っていますね。
だから、この絵の主題を知って、そんなばかなとまずは思うかもしれませんが、絵を見ているとその反対に何故かとても敬虔な気持ちになりはしませんか。
それは何故なのでしょう。
マリアの着衣、天使の着衣、二人の表情、人体の表現、二人の位置と構図、背景の風景etc 画面をくまなく見てください。すべて圧倒的な描写力です。そして、ただ上手いだけではない、それに加わる『何か』があって、私たちはこの絵から、奇跡の瞬間を受け入れるおごそかな気持ちになるのです。この『何か』こそがレオナルドの才能と言えるでしょう。マリアの気品はレオナルドだから描けたのです。芸術の才能はこんなところに発揮されます。
私たちは一方で、受胎のメカニズムの奇跡、何億もの精子のなかのたったひとつが卵子にたどり着き受精するという生命の奇跡と神秘も知っています。科学の真実と対等な説得がレオナルドにはできたのです。
赤ちゃんは、いずれにしても『授かるもの』であるのだと私は思います。
そして芸術と科学は案外近いところにあるのかもしれないとも思います。
ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチについては教科書のp.51~53に大変詳しく紹介されています。
代表作は、モナリザ、最後の晩餐、聖母子と聖アンナ、白貂を抱く貴婦人 などです。
『受胎告知』は多くの画家によって描かれておりフラアンジェリコの作品も有名です。
聖母マリアは穢れを知らぬ女性の象徴として表現されますが、この対極にマグダラのマリアというイエスを愛し奉仕したもう一人のマリア(罪深い女性と言われる)もいます。』
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1回目のモネの積みわら、スマホで5分のタイムキープして話したところ、時間切れでした。
五分という約束なので話は途中でおしまいです。
えーっ!と言ってくれた生徒複数いました。
後で数人の女子に、草の根で感想を聞いたところ、「ヨキヨキだったよ、先生』と言われました。
ヨキヨキはJK語で、良きかんじの二乗くらい良いよという意味のようです。わーい。
調子に乗って続けていこうと思います。