9月 静岡自然を学ぶ会の変形菌観察会に参加しました。
変形菌のことは、以前から気になっていました。
昔から南方熊楠に関心があって本を読んだり彼にまつわる展覧会があれば出かけたりなどしていたのです。
8月の終わり頃、塩田千春展を見に上京した時、通りがかった六本木の本屋さんで図鑑フェアなるものを開いており、そこで私は『変形菌図鑑』という本を見つけました。これがクマクスが言ってた粘菌?
わあ綺麗、わあ面白い、帰りの新幹線ではずっと図鑑を眺めていました。大規模インスタレーションの塩田千春作品も相当でしたが、自然の美しさや不思議は時に芸術を凌駕します。私はこの変形菌を自分の目で見たい!と思いました。
ところで私は会報を時差ありでやっと追いかけている読者、イベント参加経験ゼロ、年会費を督促された過去すら持つダメダメ会員であるので変形菌観察会があることを知ったのは8月の末で、それは申し込みギリギリセーフのタイミングでした。神様はいると思いました。
9月16日 東田子の浦駅に初めて降りたちお迎えの車で須津川渓谷へ。会の皆さんと合流、講師の高野さんの説明を聞いたり本物を見せていただいたりのちょっとした事前研修の後で渓谷に入って行きました。
この渓谷のどこか、葉っぱや朽木や倒木の下に、ツノホコリやウツボホコリがいるんだなと思うと本当にワクワクしました。
初心者の上、ダメダメ会員でもあるので(観察経験ほかでもゼロ)、なかなか自力では見つけられませんでしたが、皆さんが探したものを見させてもらうだけでも感動ものでした。
美しさに息を飲むとはこのことで、図鑑の写真そのものとはいかないもののの、変性菌たちの造形美はまさに森の宝石そのものでした。、有機的な柔らかい形、美しい発色、自然の摂理を感じる配列。しかも、原生動物でも菌類でもなく、変容する不思議な存在。博物学者が取り憑かれるのもわかる気がしました。
お昼の前まで、皆さんと渓谷を観察して回りました。急遽アマゾンで購入して持参した10倍ルーペ(ライト付き)を目にくっつけて時には這いつくばっての観察。そして最後にようやく自力で一つの変形菌発見。ホソエノヌカホコリです。これは午後の標本作りで標本に作って持ち帰りました。今も私の仕事机の上に居ます。
美しいものを見たい、自然の美しい造形を見たい、その思いだけで、参加させていただいた観察会でしたが、とても実りの多いものでした。観察は楽しく、標本作りも面白かった。観察をもっともっとしたいなあと思いながら帰路につきました。
そして今はこの視覚体験が今後の自分の制作に何か役立つのではなどと妄想膨らむ、ガリ勉な私です。そうなると良いです。