8月13日 木曜日
朝からいろんなことを片付けて急ぎ藤枝へ。
ギャラリーではなく実家。
お盆の棚飾りをしなければなりません。
もう何年このことを手伝ってきただろうと思う。
今年は弟が休みの間に来てくれて大まかなことをやってくれ私は細かいこと、供物のことや備えるお膳のことなどをするだけなのでとても助かった。
この面倒なことを毎年続けているのは別に実家の仏様たちのためではなくただただ母のためである。
母が、頑なに、一人になってもこの家に住み続けようとする根拠が、家を守る先祖を守るということなので、母の願いを叶えるために毎年ずっと行ってきた。母にとっては、先祖が帰ってくるこの盆祭りはきわめて重要な年中行事であって欠かすことはできない、さりとて一人ではもう笹の準備ひとつできはしない。
浜松で一緒に住もうと何度誘っても受け入れられなかった根拠も家と仏壇。
今となっては、新しい家ではトイレの場所が覚えられない母は私と住むことはできない。
去年の夏、来年もこの盆飾りができるだろうかと思った。今年もまた同じことを思っている。
盆飾りを終えて、母の髪を切る。長くなっているのに、デイサービスに来る美容師さんと曜日が合わないらしい。子育て時代に使った母さん床屋セットを今日は持参した。捨てないでおいてよかった。ビニールのケープを巻いて床に新聞を敷いて、母の白い剛毛をカットした。ちょっと前髪を切りすぎたかも、などと、子どもたちの髪を切っていた頃のくすぐったいような楽しい気持ちが込み上げる。母とお昼を食べて、午後にはギャラリーへ。静岡新聞が取材してくださるという。
どこへ行くのと聞かれ、個展の会場と答えると、個展をやっているのか、それなら作品を見たい、私も連れて行ってという。
お母さんはおとといもう来てくれたんだよと言ったら母を傷つけるので、ありがとう、でもごめんね今日は人と会う大切な約束があるから一緒にはいけないのと答える。
じゃあ明日は連れて行ってねと母は言って微笑んだ。