2021年3月11日
あの日から10年がたちました。
午前6時38分JR高塚駅そして浜松、それから早朝の新幹線ひかり、上野で特急ひたちと乗り継いでいわきに着いたのは午前11時40分ごろでした。
いわきからは各駅停車で常磐線を北上、仙台に向かうという旅程。
震災から10年経った福島を歩いてみる、できたら女寅さんともいうべきあり方で。
そんなことを昨年秋頃にふわっと決めて、それではと旅に出た私です。
常磐線は海岸線をゆっくりと走ります。
あの大津波が襲ったところ、何もかもが奪われた土地の10年後の風景の中を、ゆっくりと走ります。
新しい住宅が見えると、ああ、これが復興かと思う。
あれた家屋を見ると、10年間放置されていてもうこの家の住人は戻らないのだと思う。
遠くにえんじ色のイオンの看板が見えると、あそこには街があるんだと思う。
小さな積み木みたいな平屋住宅が3行3列のますめのように並んでいて、屋根にはソーラーパネルがついている。復興住宅の一つなのでしょうか。
10年前の痛ましさはまだ伝わる、それと同時に10年間の人々のたくましさも感じる、そんな風景でした。
自然はどこまでも強いと思いました。
青い空が広がっていました。
春の柔らかい光が全体を包んでいるようなあり方で、穏やかな時間が流れていました。
私のような旅人もいたし、スマホをいじる男子高校生もいる、ありきたりの車内。
10年目だからといって特別なことはない、そんな普通の一日を福島で過ごす、それがしたいと思っていたのかもしれません。
でも、その静かな時間は突然破られました。
午後2時30分少し前だったと思います。
亘理駅に差し掛かる少し前だったでしょうか、電車が、突然、急停車したのです。