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8月14日 早朝から母は起きていた。 トイレの片隅にぐっしょり濡れた紙パンツが申し訳なさそうにおいてある。 昨夜就寝前に母をトイレに連れて行かなかった。 濡れてしまったから起きたのかトイレに行ったら濡れていたのか。 だいぶ前から母は排泄の失敗が増えて紙パンツをはいている。ヘルパーさんには排泄に関わる世話をしてもらうのに私にはさせない。濡らしてしまうと自分で脱いで自分ではき替える。ヘルパーさんたちはいつも上手に誘導して失敗が起こらないようにしているようだが私にはできないわからない。 母は私に対しては失敗はしていない全て自分でやっていると言い張る。 紙パンツを捨て、母には会わないようにして夫も起こさないようにしてクッキーの散歩に出る。 いつもはゆっくり眺めることもない近所の家々の前をクッキーと一緒に歩く。 隣の家はもう住む人が変わった。一人暮らし同士で仲良く助け合っていた母と同い年の隣のおばさんは数年前に亡くなった。彼女の息子であり私の同級生でもあったしんちゃんはその家には住まない。 ご近所なのにどの家においても今その家にどんな家族が住んでいるのか私はよく知らない。子ども時代に知っていた人たちが代替わりして住んでいるのかもう別の人が住んでいるのか。夏咲く花が咲いている。 母が、一人きりになっても守りたいと思っている『家』とはなんだろう。 家とともにあった地域の共同体ご近所さんはもうない。どの家もほとんど建て替えられている。一軒一軒の作り自体が閉じており、老いて一人で暮らす母に対して開いているあたたかいところなどない。 朝食 夕べのお寿司の残りとおはぎの残り。お味噌汁。ほうれん草の白和え。ヘルパーさんが作り置いてくれたおかず3品。 今日は何日?と母が言う。 8月14日だよと答えると それではお盆ではないか、おっ様はきたのか、お盆の棚は作ったのかと言う。 もう昨日来たよ仏間に行けばお棚があるよと答える。 あなた方にはお盆はないのか、お盆なのに自分の家の仏様はいないのかと母は新しい質問をしてきた。 うちはお盆はやらないのと私たち 母は黙ってしまった それからもう一度母は 久子のうちのお盆は?と聞く うちはお盆はやらない、初盆だけはやったと答える。 その答えに対して母は『楽でいいね』と言った。 『楽でいいね』 先祖を大事にしろとか、両親の供養をきちんとやれとか、仏さんが帰ってきているはずだなどの正論をぶつけるどころか『楽でいいね』。 母がこの家の仏さんたちのためだこの家を守るのだと言ってここで一人で生きているのは、やりたくてやっていることではなくやらなければならなかったからやってきたのだ。 母はまた同じ質問をする 久子の家の仏さんは? 乾家ではね、お盆でも仏さんはみんな自由なの。帰りたいたい人が帰りたいときに帰って来ればいいと言うことにしているんだよ。みんな好きにやってるわけ。つまり放ったらかし。 母は言った それもいいねえ お母さんだって楽すればいいじゃない と言いそうになってやめる 嫁の務めとしてやらなければならないと信じ続けていることが母にはある。『家を守る』、だ。 こんな家を?と私は思う。この家の何を?と私は思う。 祖父母はもちろん、父もとうにいない。本家分家のつきあいはもとよりそのほかの親戚の目だってもう何も無い。なのに母はなぜこんなに『家』にむきになるののか だが母に向かって『そんなことに意味はない もっと自由に生きれば良い』 と言うことは決してできない 母はもっと自由で新しい女性であればよかったのか それはきっと違うのだろう。 それにしても、母が、やりたくないのにやることとして毎年お盆のことをやってきて、私はその母の手伝いを、やりたくないのにやることとしてやってきた。この母娘の相似形はなんだろう。 母がいるからそうするものだと思ってやってきた私がいる。姉のことも同じだ。 母にしても、やりたいとかやりたくないの前にお盆があっただけだろう。 その営みとその時間。それは理屈を超えたものだと思う。 夕方 母をトイレに連れて行き夜用の紙パンツに替える。母は初めて私に手伝わせてくれた。きているものすべてを着替えさせやれる限りの洗濯をする。台所まわりもやれる限りのことをしおかず2品と味噌汁を作る。夕食からはヘルパーさんが来る。翌日のワクチン接種のために浜松に戻る。 これが今年の短いお盆だった。帰りの東名も空いていた。 来年の実家のお盆はまだあるだろうか。 来年のお盆、私は、母も姉も弟も一切合切を踏みにじって人の子とも思われない今より100万倍も薄情な女、極悪な女になってしまうのはどうだろう。
by hisakoinui
| 2021-08-26 21:00
| 介護日記
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