12 月4日 (2)
英子に福島まで送ってもらい、ギャラリー近くのお蕎麦やさんで二人して遅い昼食。
英子と二人でギャラリーへ。今日は本来は閉廊日なので私が合鍵でビルとギャラリーのを開ける。
他に誰もいない空間で作品の説明をする。英子は真顔になって作品をみてくれた。
作品を見てもらうこと、それは本当にすごいことなんだとまた思う。
英子の去った後の小一時間をギャラリーで一人で過ごす。
旅日記の更新。少し撮影、などの作業。
やがてギャラリーの小林さんや動画撮影の赤間さんがやってきて程なく県博の小林さんも現れる。
今日のギャラリートークは人を入れずに収録のみ。公開は明後日、北方風土館からの配信となる。
トークのメインゲストである赤坂憲雄さんは夕方に仙台からの帰途に寄ってくださる予定で、その通りに赤坂先生来てくださったがお疲れのご様子でした。
急遽ギャラリーの小林さんも参加で3人の鼎談となりました。
まずは、私から展示の説明。
今年3月11日の常磐線の緊急停車の奇跡を綴ったあのテキストから始めました。
14時46分に停車中の車内全員で黙祷を捧げたあの出来事。
お疲れの赤坂先生は、隣に張り出してある10年前の3月11日の新聞をご覧になりながら、この記事が書かれた日は何もなかったんですよねと。その日、つまり3月10日は何もなかった。そういうことを、しっかりと言葉にしているのを聞いたのは初めてだったかもしれません。
それから、壁を移して、3月12日からの鉛筆で塗りつぶした作品の前に。
赤坂さんは、当時の日々を思い起こしていました。
東北学、東北をフィールドとする文化人類学のご研究をされてきた方であるので、被災の地にお知り合いが多くいらっしゃるのです。
いわきの海岸の方を歩いたことも話されました。
いろいろなことがこみ上げてくるような話され方で、私は、作品の前でこうしたお話を聞けることがとても貴重に感じました。
自分で言ってよいものかわかりませんが、この作品の持つ力がそうさせたのだと思います。そういう作品なのだと思っていいのかなと感じました。