ことばのまわり〜物語と時間〜

富士宮市のRYU GALLERY で開催していました個展　ことばのまわり〜物語と時間〜　無事に終了しました。

お運びくださった方々、気にかけてくださったみなさま、ありがとうございました。

展示のご報告をいたします。

ギャラリーのある富士宮市は富士山の麓。東海道線富士駅から身延線甲府行きに乗り換えて２０分の地。浅間神社の本宮があり、富士山登山口があり、白糸の滝、朝霧高原やふもとっぱらキャンプ場など、富士の裾野ゆえの自然とともにあるところ、一部熱烈ファンには有名な奇石博物館もここ富士宮にあります。

静岡県の西部に住む私にとっては同じ県内とはいえ、130キロの距離、精神的には近くても、物理的には距離のあるところでした。

ギャラリーの大きな窓からは、富士山が見える！はずでしたが、晴天の日でも裾野しか見せてくれない富士山でした。富士山が近すぎて夏場は水蒸気が上がって雲の中なのです。冬はしっかり見えているそうです。

ギャラリー内の一番大きな壁面とテーブルです。今回のテーマは　『ことばのまわり〜物語と時間〜』物語のある素材に刺繍ドローイングをして、今とその物語の時間を交差させて作品としました。美しい画廊空間にステッチの小品多数とテキストとでインスタレーションする計画でしたが、大判のドローイングも入れました。昨年のギャラリーオフグリッドで展示したドローイングのうちのひとつです。

作品にはそれぞれテキストがあります。

この、茶色のブラウス　というテキストは、高校時代からの親友についてのもの。

島田市に住む彼女のお姉さんとは、彼女亡き後も折に触れて会う機会はありましたが、今回島田市からこの展覧会に来てくれました。

この作品の前で、お姉さんと彼女のことを話せたことは、望外のことでした。

ところで全作品にプライスをつけるのがリュウギャラリーの決まりです。
作品に値段をつけるのはとても難しいことです。値段を決めてから他者に尋ねても、安すぎるという人から高いという人まで様々です。今回は、ともかく買いやすい価格帯を心がけました。ギャラリー中央にテーブルを置き、today's piece のスケッチブック８冊を置きました。SNSでしか見ていただけていないし、アップロードしている作品はたくさんのうちの一部でしかないので、実物を見てもらいたい思いがありました。
それから、一部スケッチブックを除いて、ページずつ希望の作品を購入できることにしました。ドローイングのバラ売りという意味ではなく、ある日の時間を所有する、というコンセプトです。このスケッチブック作品、全冊全ページそれは丁寧に見てくださった方、私の在廊中にお二人いらっしゃいました。このページくださいと言ってくださった方はお一人いました。
反対側の壁です。額に入れた色鉛筆のドローイング２点と新書サイズのドローイングブックです。
このドローイングブックは全ページに色鉛筆でドローイングされており、そこに散文詩のような言葉がコラージュされています。この本の作品は、素通りする方と、手にとってじっくり鑑賞してくださる方とはっきり分かれました。この作品が全部の中で一番いい！と言ってくださった方がいます。オリジナルの展示の他に、小ロットの印刷で本を作ったらという助言を複数の方にいただき、とても参考になりました。ギャラリーの看板娘のみみちゃんは、二日間の搬入設営の間もずっと静かに見守ってくれていました。在廊中は膝に乗ったり、体をすり寄せてきたり、可愛かったです。元は野良猫だったのをオーナーの山仲さんが世話をするうちにこのギャラリーの専属の野良として住んでいるそうです。ちなみに山仲さんのご自宅（ギャラリーの二階）にはヤマトと言う名の立派な黒猫と、立派なワンちゃんがいます。今回の展覧会で一番大きかったことは、作品に添えるテキストをまとめて、編集デザインして小冊子を作ったことです。初めは３０部ほど作って、読んでほしい遠くの人たちに送り、残りはギャラリーに置く、というかたちで考えていました。でも、送った人の一人の友達が、とても褒めてくれ、ああ、こうして読んでもらえることだけでも嬉しい、見に来てもらえなくてもこのかたちでもっと届けようと思いました。
自宅プリンターでの制作でしたので、B５裏表５枚で一冊分（２０ページ）をコツコツ刷っては郵送するということをやりました。（まだやってます）

新しい展開だねと何人かの方に言われました。

この展示のために５０点作ろうと始めたこの刺繍ドローイング、実は２１点で会期が来てしまいました。（足りなくて、2016年の旧作も出しました）

この布で刺繍して、テキストも書きたいという素材が実はまだたくさんあります。

もう少し続けてみようと今は思っています。

木枠の形にしないで、額装してみるだとか、いろいろ考えています。

ギャラリーに友達が来てくれるのは本当に嬉しいことです。私は左から二番目です。

小冊子ご希望の方は、何らかの形でご連絡ください。