8月14日
早起きしておはぎを作る。
あずきはもう煮ておいた。実家のお盆のためのおはぎである。
実は昨日13日におはぎを持って一度日帰りで実家に行こうと思っていたが台風で諦めた。母は今、通所施設内にコロナ感染者が出たため、ずっと自宅で一人でいる。それが心配でもあった。
おはぎは二人で作ると楽だと思う。お餅を丸める手とあんこをつける手が別の方が楽なのだ。先に全部丸めておいて一気にあんこをつけるというのは、市販のおはぎのようにお餅もあんこも硬めであれば容易だが、柔らかい優しいおはぎを作ろうと思うとそれはできないのでしょっちゅう手を綺麗にする作業が入ってしまうのだ。母と作っていた頃は、母が、炊いたもち米をついて丸める人で、私はあんこをつける人だった。もう二度と持てない時間なのだなと今年は思った。
さて、おはぎを持って、そのほか母のためのものあれこれを持って、犬と夫を連れてバイパスを走る。一人で行きたい思いもあったが、夫が手伝ってくれるというので今年も一緒に行く。夫が行くなら犬をおいていけないので犬も行く。生活が丸ごと移動する。これは子育て時代もよく感じていた感覚、逆犬ぞりの感じ。犬たちに連れて行ってもらうんじゃなくて私が犬全員を連れていく感じ。
途中、掛川の道の駅に寄って(そのためのバイパス)、さまざまな買い出し。
私は産直野菜が山と積まれているこの道の駅がとても好きだ。今日は人がいっぱい。空芯菜とかぼちゃ、なすなど購入。ズッキーニは売り切れていた。仏壇とお墓のために菊と香の花を買う。
実家に着くと、母は居室の椅子にもたれて休んでいた。最近は目を開けていることが少ないけれど、私と分かればすぐさま明るい顔になってよく来てくれたねと言ってくれるのは嬉しい。認知症の親の介護で、自分を娘と分からなくなっているのが一番辛いという話はよく聞くから。
仏間に行くと今年も弟がお盆の棚の設営まではやってくれてある。笹を切って櫓に組むのが大変な作業なので今年も助かった。あとは残りの作業。三段盛りの供物、牛と馬、ハザにかける作物、餓鬼仏様用のあれこれ、お膳とかわらけなど。
お墓とスーパー、ホームセンターを超特急で周り、やっぱり夫の手伝いありがたいと感謝して、完璧は目指すまい75点でもういいよと言い訳しながらお棚完成!おはぎとお茶をそれぞれの仏様に供える。そしてなんとその3分後に、おっさまやってきた。私はいつでも滑り込みセーフだ。(アウトにならないのはなんでかな、きっと幸運の星の元に生まれているんだろう。)おっさまも、まさか3分前にこの盆棚が設えられたとは気づかなかっただろう8月14日の夕方。
おっさまの滞在は15分間で、母も同席して嬉しそうだった。
母との会話。
今日は何日?
8月14日。
大変!お盆じゃないか。
もう支度はしましたよ。
おっさまはもう来たの?
今みえたところ。
お布施はどうなっているの?
準備したから大丈夫。
母との会話 その後
今日は何日?
8月14日。
大変!お盆じゃないか。
もう支度はしましたよ。
おっさまはもう来たの?
さっき帰ったよ。
お布施はどうなっているの?
ちゃんと渡したから大丈夫。
それから、母と夫と3人でおはぎを食べた。
おいしいねえ、と母が言った。
おいしいね、と夫が言った。
それから母は、夕ご飯の前と、夕ご飯の時と、翌日の朝ごはんに、おはぎを食べた。その度に、おいしいねえ、と言ってくれた。