いつのまにか、2月も中旬になります。
書くことでまとまったり広がったりする実感が心地よく、ペースをあげていた先月でしたが、体調を崩したり、学校のことが忙しかったり、大きなドローイングにかかりきりになっていたり、犬のことでいろんなことがあったりしていました。今ではそれらのことをひとつずつそのときに書いておけば良かったと思います。
ドローイングもそうですが文章も、その時にしか書けないものがあるように思います。
それで、きちんと書けるか自信がありませんが、最近読んだ本のことを書いておこうと思います。
この国の芸術〈日本美術史〉を脱帝国主義化する
小田原のどか 山本浩貴編
月曜社 2023
話題の本ということで、読まねばと思って読みました。全830ページ。註も含めて精読しました。とても時間がかかりました。付箋をつけたり、メモアプリに抜書きしたりしながら読みました。
章ごとにテーマがあり、それぞれ研究者の論考やインタビューや対談などでそのテーマを伝える形で編まれていました。ジェンダーのこと、植民地主義のこと、障がい者の表現のこと、天皇についてなどなどです。それらのテーマのひとつひとつを緻密に再検証しているというよりは、それぞれのテーマにおいて帝国主義的な旧来を斬る論客たちの言説や実践が紹介されている、全体としてはコラージュのような本でした。
一貫しているのは、周縁にいてメインストリームじゃないひとたちにスポットを当てていることなのですが、それが、当事者の実感を持ちながら読めてしまうところが面白かったです。
それはそうだもっともだと何度も思いました。頑張っている人たちいるんだなあとも思いました。
ホーツーニェンをちゃんと私も観ましたよ、と思ったり、はまなかあいづ文化連携プロジェクトの紹介のページでは、わたしもそれに関わってましたー!とこころの中で叫んだり、嶋田美子さん偉いなあと感心したり、山崎明子さんの手芸考は私も知ってると思ったり、など具体的な共感ができました。
この本の厚さそのまま、小田原さんや山本さんの思いは熱く、とるものもとりあえず、時代に向かって社会に向かって問いかけたいものがあるんだなと感じました。
それはちょっと一面的ではありませんかと思う箇所もありましたが、そうしたことよりも、何か私自身も今まさにこの時代に生きていると思わせてもらえた本でした。
ただ、浜松の本屋さんにはなく、Amazonでは定価より随分高くて買う気がせずにいたところ、上京の際に寄った丸の内オアゾの丸善には平積みされていたという事実は、すこし残念なことです。タイトルとは裏腹に脱帝国主義じゃ全然ないあり方でしか買えない本なのです。
周縁に生きる私(たち)には届かないものがいつもあるのかも知れません。