少し時間があいてしまいました。
また少しずつ書いてゆきます。
ギャラリーに入るとすぐ左手にサンルームと呼ばれているあかるい小さな空間があります。
そこにこの作品を展示しました。「時間のことば」という作品です。


2011年4月16日から2012年3月10日まで約11ヶ月の朝日新聞朝刊の一面を除いた新聞の堆積。
ただ積んだだけではありません。
新聞一枚一枚を濡らして乾かしゴワゴワにしてあります、
そのゴワゴワになった新聞一枚一枚の堆積です。
上に乗っている器は『その日の器』というワークショップで作ったもの。このワークショップについては、後の記事で書きます。
私は、2011年3月12日からの朝日朝刊一面を鉛筆で黒く塗りつぶしその最初の一ヶ月分を、同年6月、ギャラリィK(東京)での個展で発表しました。
その作品が契機となって私と福島の関係は広がり深まり続いて来たわけですが、私は、2011年3月11日から2012年3月10日までの一年分の新聞を保管していました。
一面の塗り潰しは5月15日で終わっているのですが、一面以外もすべて取っておいたのです。
なんのためにかは自分でも確かな気持ちはなく、ただ、一年分はとっておこう、保管しておこうと決め、もう遊ばなくなったレゴや読まなくなった漫画が押し込まれている子供部屋のロフトに10年以上積んでおきました。
あの日からの一年間が我が家の片隅に積まれていたわけですが、今回の刊行記念展のために、私はその一年間の新聞を作品にしようと思いました。
どんなふうに?
1日分ずつを溶かして固めてレンガにしてそれを積み上げるのはどうだろうとか色々考え、シンプルに、雨ざらし日ざらしにして塔のように積み上げることに行き着きました。14年の歳月を視覚化するために。
春にはもうこの展覧会は決まっていたので、真夏に新聞を濡らして干せば良いと軽く考えていましたが、去年の夏のあの暑さの下での作業に身の危険を感じ、気がつけばもう秋の終わりでした。
真冬になってから一ヶ月分をギャラリーの空閑さんと一緒に外で濡らし乾かしてみました。
そしてその作業の大変さから、一度はもう間に合わせることを諦めようとなったのだけれど、やはりと思い2月も後半になってから、残り10ヶ月分を一人で濡らし乾かしました。
リビングの床暖房をマックスにして家具を片付け新聞を広げて一枚ずつ霧吹き、乾いたら裏返して霧吹き、という作業2500枚ほど朝から深夜まで毎日やり完成させたのがこの作品です
思ったよりも高さが出ませんでしたが、作品の断面が時間を物語っています。
言葉がものになっているのが新聞だけれど、時間もまたモノになっている。あの日からの一年がモノになっていると思います。