少し前のことですが、インゴ・ギュンターが静岡に来て講演するというので出かけました。
あの『ワールド・プロセッサー』地球儀たちの作品がとても好きなのです。横浜トリエンナーレの作品もよかった。
この写真は美術Ⅲの教科書から。
講演を聞いてみると、さすがアーティスト、ほんとにお話が下手でした。周りを見回すと八割くらいの人が寝てたような、、。
企画者が友人だったので、懇親会にも出て、本人ともちょっと喋って来ました。世界レベルの人と喋る語学力なんてないのにね。まあいいや、なにか吸収できた気がします。
地球儀の作品は全部で 1500は作ったというからすごいです。
「次作のテーマはdiplomacyだそうですが、それはどんな作品になるのですか?」と尋ねたつもりでしたが、通じなかったのか、すごくムキになって答えてくれた内容は、次のふたつでした。
ひとつめ『僕は週二日の教える仕事以外はずっとそのことにかかりきりで制作している。教える仕事は二日だけだ。』彼は今東京芸大の客員教授なのですが、フルタイムアーティストでないことへのエクスキューズがそんなにあるのかと驚きました。
もうひとつは『今度の作品へのスポンサーがまだ見つからない。誰か金を出してくれる人はいないだろうか』
教科書に作品が載るほどの人でも、金策は切実なのですね。
最近の美術手帖では、『もっと圧倒的な才能が欲しい』という大竹伸朗の言葉がのっていたし。
アーティストとして有名になるかならないか、ということよりも大事なことってある、ようだし、そもそも、何に幸せを見つけるか、ということになるのかな。なんてことまで考えてしまいました。
ともあれ、ギュンターさんが、自信満々の有名人じゃなくて、とても繊細な、普通の中年のおじさんだったことはとてもよかったことでした。