月に一度だけずつ、小さい人たちと関わっているふたつのことがある。
ひとつは、小学校の読み聞かせボランティア。朝の教室で、お話を語ったり絵本を読んだりする。ろうそくをともして行い、終わるとその月の誕生月の子に消してもらう。火が消えるときにお願いごとをするとかなうんだよ、と言うと小さい人たちはすごく真剣にお願いを考える。わたしも彼らと一緒にお願いごとをする。
私の語る『おはなし』を小さい人たちはこちらが申し訳ないと思うくらいよく聞いてくれる。
今月はイギリスの昔話『かしこいモリー』。
親に捨てられた三人姉妹は、森をさまよったあげく一軒の家に辿り着くが、そこは人食い大男の家だった。末の妹モリーの機転で三人はその家を逃げ出す。次に辿り着くのはなんと王様の御殿。王様はモリーの賢さをほめ、モリーに難題を授ける。それが実行できたら姉さんたちを王子の嫁にしてやると言って。
モリーは『やってみます』とけなげに答え、命がけで王様の要求に応えて行く。
その要求は三度繰り返され、三度目は絶体絶命のピンチに立たされるが、モリーは持ち前の明るさと賢さでそれも切り抜け、最終的に自分も末の王子の妻となる、というおはなし。
ながいあいだこのお話を語ってこなかったけれど、どこか自分を励ましたくて、ひっぱりだしてみた。『やってみます』と答えるけなげなモリーにまた会いたくて。
語ってみると、ほんとうに元気になれた。私もまたモリーかもしれないと自己肯定できるほどに。お話の力はすごい。口承文芸、ひとびとが耳で聞き口で伝えた文学の力はすごい。
もうひとつの、小さい人たちとの関わりは、公民館で第二土曜日の午前中にやっている子どもの造形遊びワークショップ。ここでは私はなぜか『先生』ではなく『魔女』ということになっている。今日は粘土だったけど、とーっても楽しかった。
これについてはまたゆっくり書こうと思う。
制作時間がないと言いながらそんなことしてるんだ!?とよく言われます。
そのとおりだと思うのだけど、このふたつはもしかしたらおばあさんになってもやっているかもしれない。月に一回が半年に一回になってるかもしれないけど。