2月X日
オープニングも終わって今日からギャラリーのあるホテルを離れクレーフェルドへ。そこで、短い間だが、クレーフェルド市の助役さんのお宅にホームステイする。
クレーフェルド市助役のRoland Schneider 氏とは、浜松で何度かお会いしている。浜松との文化交流があるたびにお役目でやってくる人だ。メール交換を時々し、カタログの制作でもお世話になった。大の日本びいきで、本人自ら、僕はファナティックな日本ファンと言う。大変わかりやすい英語を話す方なので、本当に助かる。こちらがわからなそうな顔をしていると別の易しい表現に変え、ゆっくり話してくれる。ドイツ語ではなんと言うの?と尋ねれば、これも懇切丁寧だ。日本語の勉強もしている彼にとっては、コトバが理解できるということはとても大事であることが次第にわかってくる。
シュナイダー家の家族構成は、シュナイダーさん、奥さんのバーバラさんと息子がふたり。ペットはいない。息子たちは二人とももう社会に出ている。バーバラさんは、看護婦さんだ。え、助役夫人なのに?という素朴な疑問を抱いたが、シュナイダー氏はS.P.D(ドイツ社会労働党)の幹部で、どうやら、党の人事によってクレーフェルド市の助役という仕事をしているらしい。つまり、男であれ女であれ働くのは当たり前のこと、という考え方の人なのだ。そして、たとえば日本の地方都市の助役さんが市議会で選ばれるためには、あの、『各地域自治会丸がかえ地縁血縁市議会議員選挙』で選ばれることが前提なのとは大きく事情が異なっている。つまり、彼はもともとはクレーフェルドの人ではないが、SPDの仕事として市の助役という役目を負っているのだ。こうしたことは日本では県知事レベルなら考えられるけど、人口20万の地方都市の行政にまで行き渡っている組織性に軽いショックを覚える。
いま、クレーフェルドの市長は41歳のキリスト教民主党の人で、SPDは前回の選挙で負けたのだそうだ。だから、第一助役はその党の人にかわったようだ。この助役さんもオープニングに来てくれたけれど。