たまにはドイツじゃない日記も添えようと思う。
今日は、長男のインハイ予選二日目準決勝、次男のアマ竜王戦県大会、三男の運動会、夫の駅伝レースと、男たちは戦いの日で私は5時起きで弁当作りと応援の日でした。報告展の準備って果てしなくて、こういう整理ってすごい苦手な自分にはたと気がつく。新しい作品作った方がどんなにか楽だろう。
ドイツの続き
庭師のマイヤースさん
浜名湖花博でのドイツの庭作りで来ていたマイヤースさんとシュヴァルツェさん、それからシュバルツェさんの奥さんが一日案内をしてくれる。花博のときほんの少しだけお世話をしたというだけの縁だったのに。
彼らは多く語らなかったがハイソなシュナイダーさんとはまた別の暖かさがあった。
シュバルツェさんの家は古い農家をリフォームした広大なお宅だった。広い庭、犬に馬に牛。ブリューゲルの『農民の結婚式』の会場みたいな広い客間。庭にはレンガ作りのパン焼きがま。
彼らは、とりたててクレーフェルトの特別な顔を見せようとはしなかった。行こうとしていた野外美術館がしまっていたので、4人でぶらぶらする。昼はスパゲティを食べお茶を飲む。彼らとの間には、伝えなければいけない、とか、聞き落としたら大変、という緊張がなくて、それで私は少しドイツ語を話してみる。すると語尾変化の間違いを正してくれる。ドイツ語の語尾変化のまちがいって日本語の「てにおは」ぐらい気になるのかな。たとえば、アップルティーの不定冠詞の変化についてアップルティーを飲みながら直してもらう。そうしたとても小さいけど大切なことについて誰かと話ができることは幸いだ。ずっと走り続けてこぎつけたこの個展で、ようやく一息お休みできた感じがする。
4人であてもなくラインのほとりを歩く。遠くに石炭を積んだ船が行き来している。火力発電は限界で、風力は5パーセントに満たない、原発はすべて取りやめたけど、フランスの原発が生産した電力を買っているんだよ、この国は、と庭師のマイヤースさんが静かに話してくれた。
KEMPENという小さな町に行く。本当に寒い。
Kempenでかわいい買い物袋を買う。スーパーでパンの酵母を買う。もう一度画廊に行ってみたいな、というとオーケーという。できたら、アウトバーンは走りたくないなというと、旧街道をゆっくり走ってくれた。ここは毎年馬のレースがあるんだよ、と両側が林になっている道を走る。
マイヤースさんたちと過ごした一日のおかげで私は、ドイツ人を普遍化しすぎるまちがいから救われたように思う。