朝10時に三宮駅西口でアーティストの友人中西さんと待ち合わせ、彼女の案内で兵庫県立
近代美術館へ。安藤忠雄の建築というこの美術館、かっこいいけどちょっと使い勝手は悪そうだ。
ムンク展をやっている。たくさん人が入っている。どうして日本人はムンクが好きなの?初期の油絵にいいないうのはあるけど、それだって、高い保険をかけてノルウェーから運んでこんな大企画にする程だろうか。それでつい作品よりも作品を見てる人を見てしまう。あなたはムンクのどこが好きなのですか?と。
多分、あの『叫び』を知っているから、ムンクが好きなのだろう。というか、あの『叫び』を見たい、それだけで来たのでしょう。愛する事は知る事で、知る事は愛する事だから。そしてその『叫び』は来なかった。持って来れないならそれでいいのに、レプリカが展示されている。当麻寺の曼荼羅ならレプリカも許す。作品をいためちゃいけない、という正当な理由があるからね。だけどなんでムンクの『叫び」のレプリカをありがたがってみなきゃいけないのよ、ともう怒りがわいてきた。
いや冷静になろう。ムンクは1880年生まれ。あの怒濤の 1910年代に30代だったのに、作品になんの時代性もなくかといって個人的に審美性の追求をしている訳でもない。日本以外でもムンク人気ってあるのかなあ、あるなら知りたいと思う。
ムンク展のつまらなさにふたりして無口になってしまったが、気を取り直して常設展を観る。
小磯良平がたくさんあるのは彼が神戸の人だったからだと知る。この慇懃な洋画がこんにちの美術教育のあやまりの元凶だ!とムンクに続いて怒ってばかりのわたし。きっと歯が痛いせいだね、と続きをぐずぐず見ていると、おお!!なにこれ!!すごい、という作品に出会った。
村上華岳です。
美しい濃淡、空間の表現。小品でしたがこころも目も洗われました。よかったです。
さて県美をあとにしてふたりで昼食。大阪に移動して国立国際美術館、CASO、信濃橋画廊など、関西の有名どころのアートスポットをまわる。歯(ぐき)の痛みは激痛にかわり、そのために、夜にはとんでもない経験をすることになる。つづく